本格的な殴り合いが始まる。
悲鳴がいっそう大きくなった。
「やめなさい!!!」
かけつけた教師の声が響くが、喧嘩は止まらなかった。
教師が遥を押さえつける。
「6人は指導部に来なさい。」
そういわれてハッと我に返った。
遥と健二、そして男子生徒4人が指導部に呼ばれる。
冬樹はその様子を見て茫然としていた。
「しばらく教室で自習してなさい。」
教師の言葉にざわつきながらも生徒たちは席につく。
「まったく、一日で二度も問題が起きるとは・・・。」
教師がため息をつき、ぶつぶつと一人ごとを言っていた。
それを聞いて遥は顔を上げる。
(二度・・・?ほかにも、何かあったのか?)
「・・・まったく、筧は問題を起こすような奴じゃなかったのに、
今日はいったいどうしたんだ?」
「・・・。」
遥は何も言わなかった。
指導部につくと、6人は一人ひとり事情を聴かれて言った。
「いきなり遥が殴ってきた。」
男子生徒の言葉に健二が彼をにらむ。
「遥からじゃねーだろ!もとはと言えばそっちが喧嘩ふっかけてきたんだろ!」
「は?何言ってんの健二?」
馬鹿にしたような笑みを健二に向ける男子生徒。
また喧嘩が起こりそうな雰囲気に教師が静止をかける。
「やめなさい!・・・今回は大事になる前に喧嘩がおさまったからいいものの、
停学になったらどうするつもりなんだ?内申に響くぞ?」
全員が沈黙した。
教師はハァ、とため息をつく。
「全員、反省文20枚。」
「え、」
「マジかよ・・・。」


