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「・・・それでね・・・恰好良かったの、三守くん。」
「海にもとうとう春が来たのねっ!」
良かったわ~あなた!
よかったな~ママ!
と、両親二人そろって手を取り合って喜んでいる。
「バカバカしい」
遥はそう呟いて夕食に手をつけ始めた。
海は帰宅後、どもりながらも嬉しそうに両親に図書室での出来事を話したらしい。
海が学校で浮いていたことを薄々と気づいていた両親は盛大に喜び、
遥を呆れさせている。
「大体、海が自分の容姿を気にしないのが悪い」
「でも、私・・・遥くんみたいに、恰好よくないから・・・」
「俺と同じ顔が良く言うよ。そのうざいくらいの前髪切ればいいだろ。
美容室行くとかして、気遣えよ。お前見てるとイライラすんだよ」
「まあ、遥ったら、海の事をよく考えてるのね!」
「は!?ちげーよ!」
「パパはうれしいぞ!」
「お前ら黙れよ!」
遥は、海のことが嫌いなわけではないのだ。
遥は遥なりに気にはかけている。
「遥くん・・・」
海は遥を見た。
彼は顔を真っ赤に染めて、 ごちそうさま! と言い乱暴に席をたつ。
普段学校ではクールな印象なのに、家庭では全く違った。
海は、先ほど遥が言っていた 美容室 という言葉が心に残っていた。
まだ、好きまではいかないものの、冬樹のことが気になる。
(・・・変われるかな、)
少しだけ、容姿を気にしてみようと思った。