モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



しばらくぼうっとしていると、三時間目終了のチャイムが鳴った。

遥は立ち上がり、教室に戻る。



ガラ、

教室のドアを開けると、そこには海の姿はなかった。

「・・・あ、遥!」

大丈夫か?と自分の頬を心配してくる健二に頷く。

「なあ。海は?」

「あー、・・・さあ?」

「なんだよ今の間は。絶対知ってるだろ。」

「いや、だってさー。」

言うなって言われてんだよな、と健二は困ったように笑った。

「・・・冬樹!」

遥は冬樹の姿を見つけて彼に駆け寄る。

嫌な予感がする。海に何か起こっているのかもしれない。

「海は!?」

「ごめん、遥。」

「何があったんだよ!」

冬樹が口を開いた瞬間、ほかの男子生徒が冬樹の前に出てくる。


「遥ー、地味なんてほっとけって!」

「そーそ。お前いくら親戚だからって地味なんか気にしてっと

モテねえぞ?」

「何?まさか遥、地味の事好きなの?」


誰かがそういった瞬間、教室中に爆笑が起きる。

遥の中で何かがキレた。


ガンッ、

近くにあった机を想いきり蹴り飛ばす。

「・・・黙れ。」

今までの遥とは思えないくらいに声が低かった。

教室がシンと静まりかえる。


「は、遥・・・?」

健二が心配して後ろから声をかけるが遥には聞こえていなかった。


「あんなブスを気にしてるとか頭おかしっ・・・ごふっ!」

ドゴォ、と男子生徒が吹っ飛んだ。

教室中に響く悲鳴。


「・・・遥、」

冬樹がつぶやいた。