「いるわけないだろ。」
「嘘だあ、遥君すっごくモテるのに?」
「・・・関係ないだろ。」
「あるよ!」
「なんで。」
遥は理子を見て、疑問を口に出した。
理子は少しだけ頬を赤く染める。
「・・・あたし、立候補するから。」
「え?」
「遥君の彼女、立候補する。」
理子は真剣な瞳で遥を見る。
彼は驚いて目を見開いた。
「は?」
「じゃあ、ちゃんとしおり見といてね!よろしく!」
理子は恥ずかしさを隠すように遥から視線を逸らし立ち上がる。
鞄を肩にかけて、じゃあね!と言って屋上からでていった。
残された遥はぽかんとして彼女が出て行った方向を見る。
(・・・どういうことだ?)
自分の彼女に立候補するといった。
もしかして、理子は俺の事が好きなのか?
「・・・。」
健二は、理子に惚れている。
そのことを思い出し、遥は表情をゆがめた。
ややこしくなっていく関係にため息がでる。


