「もう、遥君ったら全然起きないんだもの。」
「さ、じゃなくて、理子?」
「うん!部員に連絡事項があったから知らせてまわってたんだけど
遥君だけいないからさ。探したわよ。」
理子は遥の隣に腰を下ろし、笑顔を見せる。
「い、今何時?」
「11時。」
「3限目始まってんじゃん・・・。」
どうやら爆睡していたらしい。
「授業はいいのか?」
「うん、このさいサボっちゃおうかなって思って。」
理子はそういうと身を乗り出して遥の顔を覗き込む。
「遥君、その頬どうしたの?」
痛そ~、と理子は遥の頬に触れた。
「まあ、いろいろあって。」
「色々って!?まさか喧嘩!?」
「いや、だから違うって、」
ホントに?としつこく迫ってくる理子に戸惑いながら身を引いた。
「っきゃあ!」
「え?」
刹那、理子は体制を崩して倒れる。
そのまま遥の上に乗ってしまい押し倒すような形になった。
「ご、ごめん///」
「い、いや・・・俺こそ、」
ごめん、と言おうと口を開いた瞬間、理子が顔を近づけてきた。
「え、ちょっ、理子!?」
理子は遥の手を握り、真剣な表情で彼に近づく。
「り、理子!」
「・・・遥君、あたし、」
理子は何かを言いかけた。
心臓が高鳴る。
「・・・やっぱり、まだいいかな。」
「はあ?」
理子はすぐに笑顔を見せて、身を引いた。
そして遥に手を差し伸べる。
「ごめんね。」


