「冬樹、お前本気?」
遥は念のために確認した。
すると彼は もちろん と言う。
「・・・冬樹は、海の何を知って言ってんの?」
その言葉は無意識に出た言葉だった。
遥が我慢していた想いが爆発しそうになる。
「遥こそ、海ちゃんの何がわかるの?」
ズキン、ズキン
冬樹の言葉が突き刺さる。
たしかにそうかもしれない。
「今日だって、海ちゃんが困っていたのに無視したよね?」
「っ、それは・・・。」
「言い訳するの?」
言葉に詰まる。
勝手に嫉妬して、海を傷つけて、助けてやれなくて。
自分勝手で、自分はわがままだ。
「っ・・・俺も、海が好きなんだ。」
ぽつりと遥はつぶやいた。
それを聞いて満足そうに冬樹は笑う。
「じゃあ、遥とはライバルか。」
「・・・。」
冬樹に勝てるわけないと思った。
気づけば保健室前まで来ていた。
「ここまででいいよ。ありがと、冬樹。」
遥は冬樹の返事を待たずに、保健室へと入ると
乱暴にドアを閉めた。


