「キャー!」
「冬樹くん!!」
女子生徒が悲鳴をあげた。
冬樹は反射的に目を綴じた。
刹那、後ろへと強くひかれた。
ガッ、
痛そうな音があたりに響く。
冬樹はゆっくりと目を開いた。
自分に痛みはない。
「・・・、はる、か。」
冬樹は大きく目を見開いた。
「馬鹿じゃねーの?冬樹。」
目の前には自分の代わりに殴られた遥が立っていた。
頬は真っ赤に腫れ上がり、口端が切れて血がでている。
「は、遥!?お前なんででてきたんだよ!」
康平が驚き声をあげる。
「お前こそ、喧嘩すんなよ。停学になってもいいのか?」
「あっ・・・悪い、つい、カっとなって・・・。」
康平はやっと冷静になった。
女子生徒が遥の顔を見て絶句している。
「・・・遥、大丈夫?どうして俺をかばったりなんか・・・。」
「別に、お前をかばったんじゃねーよ。」
「悪い遥。今すぐ保健室行った方がよくねえ?」
冬樹と康平が遥を心配している。
目の前で起きたことが信じられなかった海が慌てて遥のもとに
駆け寄った。
「は、遥、だいじょう、ぶ?」
海が心配して遥の頬に手をのばすが、遥はそれを手で払った。
「ほっといて。」
遥は海を拒絶した。
ズキン、と海の胸が痛んだ。


