「・・・。」
それを見て、遥はさらに苛立った。
自分がとった行動と、冬樹がとった行動。
心の底が黒く染まっていくようだった。
「冬樹ー、お前コイツの肩もつのかよ。」
男子生徒が冬樹を茶化すように言った。
「だとしたら?」
冬樹は挑発的な目を男子生徒に向けた。
「テメェ、調子にのってんじゃねーよ!」
表情にイラだった男子生徒が声を張り上げた。
クラスはシンと静まりかえる。
「おい、康平、やめとけよ。」
男子生徒の友人がさりげなく止めにはいるが、聞かない。
「前から気に食わなかったんだよなァ、
テメェ、自分の顔が少し整ってるからって上から目線で
まわりを見下してんじゃねーよクズ。」
康平と呼ばれた男子生徒は友人を突き飛ばして冬樹のもとに歩み寄る。
冬樹は何も言わずにじっと康平を見た。
康平が冬樹の胸元を掴みにかかる。
「殴りたければ殴れば?」
冬樹は鼻で笑った。
喧嘩になって怪我をすれば殴りかかった方は停学になる。
そのため冬樹からは手を出さないつもりらしい。
康平は冬樹の発言にキレた。
右手で拳を作り、冬樹の顔面に向かって突き出した。


