モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


一人、トボトボと学校を行く。

いつもと変わらない容姿。

まわりの視線が海へと突き刺さる。


遥が隣にいないだけでこんなに心細いとは思わなかった。

改めて、彼に支えられていたことに気付かされた。


(遥、)

頼ってばかりじゃいられない。

頼っていたから、彼に負担をかけていたから嫌われてしまった

のかもしれない。

海は強くなろうともう一度心に決めた。





遥は、先に学校についていた。

教室の扉を開ける。

すると、いつもは騒がしいはずのクラスはシンと静まりかえっていた。

いつもと違う雰囲気に遥は戸惑う。


「遥、おはよー。」

「健二・・・何か、あったのか?」

思わず健二に聞くと、気まずそうに視線をそらしながら

彼は遥の前の席を指さした。


「あれ。」

「・・・!?」

遥の前の席、海の机はボロボロになっていた。

机の中の教科書はすべて破かれ、床に散らばっている。

そして机には油性マジックで 死ね! と暴言が書かれていた。

さらには海の椅子がない。


高校生にもなってこんな幼稚なことをする奴がいたのか。


「誰だよ、こんなことしたの。」

「俺が来たときにはもうなってたし、しらねえー。」


遥は悩む。

きっとこれを海が見たら悲しむ。

しかし、冬樹がいる。

「・・・。」

(俺が手をださなくても、海には冬樹がいるしな。)

遥は無視することを選んだ。