「・・・。」

どういう意味だろう?

海が首をかしげた。

母親は教えてくれそうにない。

海は夕食を食べ終え、食器を片づけながら

後で遥に聞きに行こうと考えた。






コンコン、

遥の部屋のドアをノックする。

がちゃり、

「何。」

遥がドアを少しあけて、顔をだした。


「あ、あの、話したいことがあって。」

「俺はないんだけど。」

「遥、なんで怒ってるの?私何かした?」

「・・・・・・。」

遥の表情がみるみるうちに曇っていく。


「別に、怒ってないよ。」

「でも遥、夕食も食べないし、」

「お前に関係ないだろ。」

遥はそういってドアを閉めようとする。

「遥!」

海は呼び止めるが、ばたん、としまった。

「私は、冬樹君に変えてもらったんじゃないよ!

遥がいたから変われたんだよ!私、遥が前の私がいいっていうなら、

戻るから!・・・嫌いに、ならないで。」


最後のほうは声が震えていた。

遥は部屋の中でそれを聞いている。

海はきっと、自分に依存しているんだ。

家族としての遥が好き。

恋愛感情なんて絶対にない。

チクチクと胸が痛みだす。


「・・・海、ウザイ。」

無意識にそう、つぶやいていた。