「筧くん、ハイ、タオル!お疲れ様。」
佐々木理子は笑顔で遥にタオルを手渡す。
遥は ありがと と言い、それを受け取った。
彼女は海とは違いサバサバしていた。
接しやすく、話しやすい。
「理子ちゃーん、今日部活終わったあとあいてる?」
「ごめんね健二君、ちょっと用事があって。」
理子は申し訳なさそうな表情でごめんね、と胸の前で両手をあわせる。
「ぜ、全然いいって!///」
遥はデレデレの健二に呆れたような視線を送った。
「筧くんのことも、名前で呼んでいい?」
「あ、うん。」
「あたしのことも理子って呼んでね。」
上目使いで遥を見てくる彼女に戸惑いながらもうなづく。
すると健二は 遥、わかってるよなああ? と釘をさすように話かけてくる。
惚れるな、ということだろう。
「絶対ないから。」
「ならいいけど。」
「キャー!遥君が部活してるー!」
「可愛いー!」
部活が再開して、再びファンクラブのメンバーが騒ぎ出していた。
この感覚、久しぶりだなと感じながら気にしないようにして
練習に打ち込んだ。
(今頃海、どうしてるだろ。)


