モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


とんとん拍子に進んでいく話に海はついていけなかった。

とりあえず、一万二千円という大金を彼に払わせてしまったことに

罪悪感を感じた。


「三守君、家までは一人で帰れるし・・・それに、お金は返すよ」

「冬樹でいいよ、海ちゃん。」

「ふ、冬樹君・・・」

「うん。お金はいいよ、そんなに高くなかったし。」

「え!?」

冬樹の家は金持ちなのだろうか。

普通の感覚とは違う気がする。



「で、家は?こっち方面であってるの?」

「あ、うん・・・。」

冬樹は意地でもついてくるつもりだ。

それを悟った海は遥とばったり鉢合わせになりませんように、

と祈りながら家まで送ってもらうことにした。












そのころ遥は、部活動に熱を注いでいた。

海がこんな状況になっているなんて知る由もない。

新しく入ったマネージャーは愛想がよく、

すぐに部員とも打ち解けている。

健二は彼女に本気で惚れたらしく、必要以上に話しかけていた。