モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「・・・え、三守くん?」

「可愛い・・・ありえない、あんなに、ブスだったのに・・・。」

「・・・え?」

よく聞こえなかった海が聞き返す。

三守は硬直して、彼女から目をそらせない。


「・・・海ちゃん、」

「う、うん?」



「俺と付き合ってよ。」


こんなに可愛い人を見たのは初めてかもしれない。

冬樹は無意識にそう言葉を発していた。


海は顔を真っ赤にさせて、 え!?え!? と戸惑っている。


「海ちゃんがこんなにかわいいなんて思わなかった。」

「え、っ、あの///」

「俺、君の事が好きになった。」

「ちょ、ちょっと、三守くん?///」


三守は海の両手をとり、真剣な表情で言った。

この場に遥がいればきっとキレているだろう。

海の表面しか見ていない彼を、ぶっ飛ばすに違いない。


「ダメかな?」

「・・・か、考えさせて・・・ください///」

海はたしかに冬樹のことが気になっていた。

しかしまだそれが恋なのかわからない。


「わかった、明日・・・返事してくれないかな?」

「あ、明日?」

「うん・・・あ、コレ俺のアドと携番。何かあったら連絡して。

あ、すいません。それ買います。」

「はい、ありがとうございます。12000円になります。」

「はい。」

冬樹は女性店員に一万二千円を払う。

それを見た海が目を見開き、 自分で払うよ! と慌てて言うがもう遅い。


「いいよ、それは俺からのプレゼントってことで。」

「そ、そんな・・・。」

「家まで送るよ。家どこ?」


冬樹の態度が急変した。

海の手を握り、引っ張るようにして歩き出す。

しかし、家がバレては大変だ。

遥の家を彼が知っていれば双子という事がバレてしまう。