モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


クセっ毛のせいでボサボサだった髪が

みるみるうちにまっすぐになっていく。

「・・・まあ。」

女性店員は思わず口を開けて海を見た。

冬樹は彼女の後ろ姿しか見ていない為に、まだ彼女の素顔を知らない。


「できましたよ。すごく、すごく可愛らしいですね!

せっかくだからお洋服もコーディネートさせてください!」

「え、あ、はい。」

女性店員の勢いに負け、海は頷いてしまう。

冬樹は店員が言っていた 可愛い の意味がわからず、

海ちゃん? と疑問形で呼ぶ。

海は声に反応し、ゆっくりと振り向いた。





どさ、


「み、三守くん?」

「うみ・・・ちゃん?」

冬樹は彼女のあまりの豹変ぶりに驚き、

思わず学生カバンを落としてしまった。


「う、うん。」


「っ、嘘だろ・・・。」

嘘としか言いようがない。

今の海は誰が見ても、可愛いと言えるだろう。

いつもの彼女からは想像もつかない美貌に、冬樹は動揺を隠せない。