モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


じゅるると紙パックのジュースを飲み終え、

健二は はぁ、 とため息をついた。

ため息つきたいのはこっちだ、と内心思いながら遥は健二を見る。



「ほんともったいないよ、お前・・・

まあ、親友の俺としては同じ童貞仲間がいてうれしいけどさ。」

「童貞言うな。」


好きな人がいなかったんだからしょうがないだろ、と遥は言った。


「でもお前、佐々木さんだけは絶対好きになんなよ!?

俺狙うから!」

「はいはい。」


「で、今好きな奴いんのか?」



もし、今ここで、健二に海が好きだと言ったらどういう反応を見せるんだろう。

趣味が悪いと馬鹿にされるのか。

それとも、昨日のように無視されるのか。


「まあ・・・いるけど、」

「マジで!?誰!?」


もう、どうでもいい気がしてきた。

遥は無表情で彼女の名前をつぶやく。


「海。」


「ふーん、海かー・・・は!?海って!?筧海!?地味子!?」

「それ以外誰がいんだよ。」

「お、おまっ、お前っ・・・やっぱり、だから昨日っ地味子に

あんなことっ、ちょ、お前・・・ハァ、やっぱりもったいない。」


「・・・しょうがないだろ、好きになっちゃったんだから。」

「まあ、そうだけどさ。いや、よりによって地味子・・・

うわー、お前なら佐々木さんレベル軽くイケんのに!」

釣り合わない、似合わないとぶつぶついいだす健二を軽くたたくと

お前は海の事何も知らないからそういうこと言えるんだよ、

と言いたくなった。