「見た目がキモイからじゃないの?」
「嘘?あたしは中学の時に友達の彼氏奪ったって聞いた。」
「あー、それなら聞いたことある。」
クラス中言いたい放題だ。
海はオロオロしていたが、遥はただ黙ってその様子を見ていただけだった。
(冬樹に助けてもらえばいいだろ。)
俺はもう知らない。
子供みたいな意地を張り、遥は知らない振りをした。
(・・・遥に嫌われたかな。)
海は、登校中に自分がとった行動に反省していた。
遥に謝ろうとも考えたが、
遥の態度を見て自分は嫌われたと勘違いしてしまった。
(・・・ごめんね、遥。私、一人で変わる。もう、迷惑かけないから)
双子の弟は自分の立場を犠牲にしてまで
自分を救ってくれた。
遥の言う通り、いつまでも甘えていられない。
海はぐっと手を握り、まっすぐと前を見据えた。
(大丈夫、大丈夫。)
意を決して、クラスメイトが言っている噂を否定しようと
口を開いた時だった。
「授業始めるぞー。」
丁度いいタイミングで担任がクラスに入ってくる。
(あ・・・。)
これには海は落ち込んだ。


