「・・・中学3年生の時、私の友達の彼氏に、告白されて・・・」

「え、」

「それで、ちゃんと断ったんだけれど、

私の友達だった子の耳にそのことが入って

グループから外されて、なんだか知らない間に 

私が友達の彼氏をとった っていう噂になって・・・

気づいたら、学年全体に広まってて・・・」


「なるほどな、海、中学んときはそんな見た目じゃなかったしな。」

「・・・。」


「でも、なんで高校になってまたイジメられてんの?」


「同じ中学の子が、噂を流したんだと思う・・・、

私、思うんだけど・・・きっと、見た目が変わっても、何も、変わらないと

思うんだ。」

海の声はだんだんと小さくなっていく。

遥は海の頭を軽くたたく。


「見た目だけ変わるんじゃねーよ、中身も変える。」

「・・・え?」

「俺も一緒に変わる。頑張ろう」


「っ、うん!」


遥がいれば頑張れる。

海はそう感じた。



「・・・冬樹君に、似合う人になりたい。」

ぽつりとつぶやいた言葉は、しっかりと遥の耳に届いていた。


「っは!?」


「私、うれしかったの。冬樹君に話しかけられて・・・

彼がどういう気持ちで話しかけてきたのかは知らないけれど、

でも、うれしかった。」


「・・・・・・あっそ!」

「え!?遥君!?」

遥は一気に不機嫌になり、早歩きになる。

海はわけがわからず、必死に遥の後を追った。