「海ー、今日は入学式でしょ!早く用意しなさい!」

「わかってるよ!」

朝から母親の大声が響く。

時が経つのは本当に早い。

今日が大学の入学式という自覚はまだあまりなかった。

一年前、遥が転校してから

理子ちゃんや健二くん、それに冬樹君と今まで以上に仲良くなれて、

時間が経つにつれてクラスにも馴染んできた。

友達も増えて、陰口を言う人はいない。

それどころか、最近、告白をされることが多くなっていた。

短かった髪は伸び、大人っぽくなっている海は自然と人の目を惹く容姿に

なっていたのだ。

遥とは時間が合わず、あれから会っていなかった。

メールや電話は頻繁にしていたが、やはり寂しい。


「海、理子ちゃんが来てくれたわよ!」

「え!?もう!?」

海は慌てて鞄を持ち、玄関へと向かう。

「おはよ、海。」

「おはよー、ごめんね遅れて。」

「いいって!今来たところだし。」

靴を履き家を出て、学校に向けて歩き出す。


「今日から大学生って自覚ないなあ。」

「あたしも。・・・でも、4人一緒だからまだ安心ね。」

「だよね、同じ大学受かってよかった!」

「あ、そうだ。遥君はどこの大学受けたの?」

「それが、教えてくれなくて、わかんないの。」

「へー。」

理子はにやりと笑みを浮かべる。

それに気づいた海は理子を見て、首をかしげる。

「何か知ってるの?理子。」

「ま、入学してからのお楽しみね。」

「えー!?」