新しいクラス名簿を見て、私は驚いた。

(・・・遥くんと、同じクラス。)

自分の双子の弟の 筧 遥 。

少し嬉しい反面、どうしよう、と不安になった。


学校では話しかけるな。

半径20メートル以内に入るな。

登下校の時間は絶対にずらすこと。


一年の時は違うクラスだったからこの三つを護ることができた。

けれど、今回はそう簡単にはいかないような気がした。


「うわー、地味と一緒じゃん。」

「キモ、最悪ー」


海と同じクラスになった女子が、罵声をかけてくる。

地味と名前のウミをかけて、私は 地味 と呼ばれていた。

はじめは傷ついたものの、今はそう気にならない。


海は気にしないようにして、新しいクラスへと向かった。














ガラ、

教室のドアを開けると、騒がしかった教室が一瞬だけ静かになった。

教室に足を踏み入れれば小声で暴言が吐かれる。

「まじで来たよアイツ・・・」

「違うクラスにいってくんねーかな」

「地味がいるだけで空気腐るっつーの」


黒板に書かれた出席番号順の席を見て、自分の席を探す。


筧 海 12番
筧 遥 13番

同じ苗字だから仕方ないだろう。

海の席は遥の前だった。