突然の行動の意味がわからず、海は不安げに遥の名前を呼んだ。
「・・・遥、」
「何度も言うけど俺、この先も絶対海以外は好きになれないと思う。」
「・・・っ、わたしも「けど、今はそれじゃ駄目なんだって分かった。」
海の言葉を遮る。
遥はベンチから立ち上がり、振り返り海を見た。
「・・・俺が大人になったら、ちゃんと、
改めて告白するから。」
だから、と遥は続けた。
頬が赤く染まり、瞳が揺れる。
「待っててよ、姉ちゃん。」
遥は無理やり笑顔を見せた。
家出して、自分たちはまだまだ子供なんだと十分理解した。
双子という事実は今後も変わることはない。
けれど、それと同時に、好きという気持ちも変わらない。
否、変える事はできない。
「・・・っ、うん。」
海は精一杯の笑顔を見せた。
夜空に、最後の花火が上がり闇に溶ける。
背後から聞こえる数人の足音を感じて、二人は覚悟を決めた。
「行くか。」
「そうだね。」
遥に続いて、海も歩き出す。
二人の手は繋がれることは無かった。


