モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「遥っ!」

健二は叫ぶが、聞こえるわけがない。

「クソ、追うぞ。」

「・・・健二、」

冬樹は健二を呼び止めた。

「なんだよ冬樹。」

「・・・あれ。」

「え?」

冬樹が視線を向けた先には、警官が二人、海と遥をつけている。

「・・・警察!?なんでっ、」

「遥くんと海の親が警察に連絡したんじゃないの?」

理子は呆れたように答えた。

なんとなく、こうなっていることは予想がついていた。


「今だけでも、二人にしてやれないかな。」

「・・・冬樹。」

健二は表情を歪めた。

「ハァ、しょうがねえなぁ。」

ため息交じりにそう言うと、にやりと笑みを浮かべる。


「すいませーん!」

そして二人をつけていた警官二人に話しかける。

「っ、どうかしましたか?」

「向こうの方で喧嘩してるの見たんです!」

「なんだと!?」

「ッチ、俺は双子を追う。お前は喧嘩を止めて来い。」

「わかりました。」

警官一人が元来た道を戻っていく。

「・・・っ、双子がいない!?」

話していたせいで双子を見失った警官は二度目を舌打ちをして、

慌てて走っていった。

「・・・よくやるわね、健二。」

理子が尊敬するわ、と続ける。

「二人とも、行くぞ。」

「はいはい。」