モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「あ。」

「?」

遥が声をあげ、視線を向けた先には林檎飴の屋台があった。

それを見て、海は微笑む。

「遥、昔から林檎飴が好きだもんね。」

「・・・うん。」

「ちょっと待ってて。」

海は遥から離れて屋台へと向かう。



「はい。」

買って戻ってくると、遥に林檎飴を差し出した。

「ありがとう、海。」

少し照れながらそれを受け取る。

「食べる?」

遥は海に差し出した。

それを見て少し頬を赤くして海は一口食べた。

「おいひい。」

嬉しそうに笑う。


「可愛い。」

「っ、ゴホ、ごほっ///」

急な発言に驚き、海は思わず咽た。


ヒュー、

ドオン。

また大きな花火があがる。

自然と二人の視線は空へとうつる。


ぎゅ、


自然と、繋ぎなおした手に力がこもった。


「海、どこ行きたい?」

遥は静かに問いかけた。

「花火が見える、静かなところに行きたい。」

苦笑まじりに遥を見上げて呟いた。









「・・・はい、

写真と似ている人物を二人発見しました。」

屋台の陰に隠れた警官が二人、

双子を見て報告していたことには気づかない。

「何処かへ移動するようです。

隙ができ次第捕獲します。」

ピ、

警官は無線を切り、歩いていく双子の後を追う。



「・・・え、遥君?」

一方、電車で陽太湖までたどり着いた3人も祭りに来ていた。

手を繋いで歩いていく二人を見つけ、理子は大きく目を見開いた。