モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語







午後6時。

祭が本格的に始まった。

ヒュー、と音をたてて大きな花火があがる。

「うわー・・・。」

接客をしながら海は小さく声をあげた。


ドォン


「双子姉。」

「はい。」

沢田に言われて振り向く。

「客足も引いたし、もういいぞ。

双子弟と祭り見てこい。」

「え!?いいんですか?」

「俺が良いっていってんだから、いいに決まってんだろ。」

ほら、と給料が入った茶色い封筒を渡される。

沢田は、二人の時間が残りあとわずかだということに感づいていた。

情けからだろうか。

沢田は表情を少し歪ませると、 行けよ と言う。

海は嬉しそうな表情を見せて、元気よく頷いた。



ドオン!


「遥っ!行こう!」

遥の腕を引っ張り、早く行こうと急かす海。

そんな彼女を見て、思わず笑った。





「人多いね。」

「今日ははぐれるなよ。」

「遥こそ、迷子にならないでね。」

どちらからからともなく手を繋いだ。