「ハァ、ハァ・・・探したぞ、馬鹿。」
「あ、遥。」
「あ、遥。じゃねーよ。迷子になんなよな、心配した。」
走って探してくれていたのか、遥は汗をかいていた。
それを見て嬉しくなり笑顔で ありがとう というと
遥は視線を逸らして う、うん と頷く。
「この人が海さんの好きな人?」
「えっ///」
「誰だコイツ?」
直球で聞いてきた蒼太に海は肯定も否定もせず、
戸惑う。
遥は自分より少し背の低い蒼太を見て、首をかしげた。
「俺は山崎蒼太。
迷子の友達と姉ちゃん探してた時に偶然海さんに会って
一緒に迷子を探してただけ。はいこれ。」
蒼太は遥に持っていた荷物を押し付けると、
未だに顔を真っ赤にしている海を見て笑った。
「迷子見つかってよかったな、海サン。」
「え?ちょ、蒼太君?」
「あとは一人で大丈夫!
じゃ、行くから。」
「え?あ、ありがとう!」
背を向けて行ってしまいそうになる蒼太に海はできるだけ大きな声で礼を言えば、
彼は振り返って笑顔を見せた。
その笑顔に見惚れていると、遥に頭をたたかれる。
「お前年下好きなの?」
「なっ///違うよ!」
「ふうん?」
買い物も付き合ってもらったみたいだし、
よかったなあ。と棒読みで言う彼。
海は嫉妬しているんだと理解して、小さく笑うと
荷物を持っていないほうの手を自ら握った。
「これでもう離れないでしょ。」
「・・・馬鹿///」