「海さんはこの辺に住んでるの?」

「うん、今は・・・ね。」

「ふうん。」

訳あり気な返事に、蒼太は深くは追及しなかった。

誰にでも聞かれたくないことくらいあるだろう。

自分もそうだ。



肉の他に、野菜など色々買うと二人は店を出た。

「ほかは?」

「もう無いよ。」

メモを見ながらそう答えると、蒼太は そっか と笑った。

「じゃ、あとは迷子を捜すだけだな。」

「だね。」

ちらりと蒼太は彼女が持つ荷物に目を向ける。

それを無言で掴んだ。

「え?」

「俺が持つよ。重そうだし。」

「え!?いいよっ、軽いし。」

「俺男だから、大丈夫!」

有無言わせない言い方に海は仕方なく諦め、

小さく礼を言った。

それを見て、海の雰囲気を気に入っていた蒼太は

無意識に口を開いていた。


「海さんて、彼氏とか・・・好きなひと、いる?」

「か、彼氏はいない、かな・・・好きな人はいるよ///」

「そっか!俺もいるんだよね。」

「そうなんだ?」


どんな人?と海は微笑みかける。

蒼太は頬を真っ赤に染めて小さくつぶやく。

「すっげー、優しくて、面白くて、カッコイイ。」

「え?カッコイイ?」

海はぽかんと目を見開いた。

「あ、最後のなし。可愛いってことで!」

「ふふ、その人の事大好きなんだね。」

「絶対に、両想いになんてなれないけどな。」

苦笑すると、海は首をかしげる。

どうして、と問おうとした時だった。


がしりと背後から服を掴まれる。