「お前らキョウダイだろ?
一緒な部屋でいいか?」
「あ、ハイ。」
沢田は部屋に案内すると言って二人を呼んだ。
ワゴン車から少し離れた場所に民家があった。
「ここの二階の右側の部屋を自由に使ってくれ。」
「ここ、沢田さんの家なんですか?」
「おう。」
沢田は無愛想に答えた。
そんな彼にあまり好感を持てない遥はため息交じりで そうですか、 と答えた。
その後、部屋に荷物を置くとワゴン車の元へと戻る。
仕事内容の説明を受けた二人はおもに接客だった。
客が来たらテーブルに案内し、
注文を聞く。
料理ができたら運ぶ。
あとは皿洗いなどの雑用。
思ったより簡単そうな仕事に安心していると、沢田は 油断はするなよ という。
「この地区の一番デカい祭りだからな。
客が大量に来るんだ。」
「そうなんですか。」
「ま、精々頑張れや。」
他人事のように言う沢田をぽかんと見ていると、
がさごそと近くにあったダンボールをあさり始める。
「ほらよ。」
ぽい、と投げつけられたものは制服だった。
「それ着て、接客。わかったな?」
「「は、はい。」」
渡されたウエイトレスの制服に少し驚いた。
「これから頑張ろうね、遥。」
「うん・・・。」
微笑む海を見て、
遥もつられて微笑んだ。