モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


やばい、非常にやばい。

ロッカーに隠れたはいいが、

色んな意味でドキドキしていた。


「くるし、」

海がどうにかして苦しさから解放されようとして身動きする。

「ちょ、」

彼女の手が遥の股にあたり ひっ、 と声をあげそうになった。


ガタン、


物音を立ててしまう。

「・・・?」

教師はロッカーを眺めた。

「・・・。」


見つかるかもしれない。

海と遥は息を飲んだ。



「・・・ネズミかしら、」

教師はネズミと勘違いしたらしい。

嫌だわ!と声をあげて更衣室から出て行ってしまった。

(ネズミ嫌いな教師でよかった)



遥はロッカーを開けて、海を押し出すと自分も出た。

「ふう。」

「ば、バレるかと思ったね・・・。」

「・・・だな。」

ま、バレなくてよかったけど。と安堵の息を吐いた。


「じゃあ、俺は体育戻る。海は?」

「もうすぐ、体育終わるよ?私、教室で終わるの待ってる。」

「うん、じゃ、また後で」

「・・・遥くん、」


「ん?」

「ありがとう。」


海は遥に微笑んだ。

学校で彼女の笑顔を見たのは初めてかもしれない。

「・・・うん。」


少しだけ、ドキリとした気がした。