「か、母さん・・・。」
「お母さん・・・なんで、ここに?」
「海のクラスが変わるから、詳しい説明を聞きにきたのよ。
あんたたち、私が知らないところで色々勝手にっ・・・
まわりに迷惑かけてっ・・・。」
母親の目に涙が浮かんでいる。
二人はぎょっとして母親を見た。
そして教室をのぞき、黒板に書かれている暴言を見て絶句する。
さすがに二人の母親が来るとは思っていなかったらしく、
教室はシンと静まりかえった。
カタン、
「あっ、」
遥と海を見てひそひそ話していた男子生徒が手をすべらせて
携帯を落とす。
それが転がり母親の足元で止まった。
母親はそれを拾い、言葉を失った。
自分の子供が抱き合っている写メが映っている。
「っ、あなたたち二人には、たくさん聞きたいことがあるのよ。
今日はもう学校を早退して帰るわよ!」
有無言わせない母親の言葉に二人は何も反論できなかった。
小さく微笑む理子には気づかない。
遥は深いため息をつき、荷物をとりに自分の教室に戻っていった。
「あ、遥・・・。」
「やばい、どうしよう健二。」
「何かあったのか?」
「母さんに、バレたかも。」
折角、いろいろ落ち着いたと思ったのに
学校に来たとたんコレだ。
「え!?ちょ、バレたって!?」
「ごめん、またメールする。今日は帰る。」
遥は健二と冬樹の顔をまともに見ず
教室を出て行った。


