学校につくと、二人は職員室へと向かった。

そこで隣のクラスに移動することの説明を再度聞く。

教師達の視線が突き刺さる中、二人はまっすぐと前を見据えていた。






「じゃあ、また後でな。」

「うん。」

少し名残惜しそうに、二人は別れる。

海は深呼吸して、覚悟を決めて新しい教室のドアを開けた。





「・・・っ!」

彼女は大きく目を見開く。

「あ、海ちゃーん。今日からよろしくね!」

理子がにやにやとした笑みを浮かべながら駆け寄ってくる。

「・・・なに、これ。」

思わず海は呟いた。

「何って、本当のコトでしょ?」

クラスの生徒達は自分をみてヒソヒソと何かを言っている。

黒板に書かれていたのは、暴言の他に

ブラコン、近親相姦、という文字がつづられている。

「えーっと、筧さんだっけ?」

知らない生徒が自分に話かけてくる。

「双子で付き合ってるって、マジ?」

「つ、付き合ってないよ!」

これは本当だった。

ただ、両想いなだけだ。

お互いいけないことはわかっている。

だから、付き合うことなんて考えてない。

ただ同じ気持ちだということを知っただけだ。


この際自分と遥が双子だとバレた事はしょうがない。

けれど、どうして両想いだということがバレているのだろう。

「アタシ、みんなにメールしちゃった♪

遥君も頭可笑しいよね。」

「っ!」

ぱん、

刹那、乾いたような音が聞こえた。

海が理子の頬を叩いたのだ。