「え?どういうことだ?」
病室の外で、こっそり聞き耳を立てていた健二と冬樹は目を見開く。
二人が双子だと言っていた。
八木が出てくる気配を察するとバレないように
病室から離れて物陰に隠れる。
「・・・海ちゃんと遥が、双子?」
「じょ、冗談だろ~?」
背を向けて帰っていく八木を見て、理子は小さく笑みを浮かべる。
「ホントだよ。」
はっきりと、そう言った。
「私、実は海ちゃんから聞いてたの。
遥君と双子だって。二人は家族なんだよ。」
嘘を言っているようには聞こえない言葉に、
冬樹と健二は目を見開く。
「いや、でもさ、それって・・・可笑しいだろ。
だって遥、筧さんの事・・・。」
言葉が続かない。
「あの二人もいけないということはわかってるはずだよ。」
冬樹が冷静に答えた。
健二の脳裏には、海の事を嬉しそうに話す
遥の笑顔が過る。
「双子なのに、想いあってちゃ駄目だよね。
はっきりいって幻滅した。」
理子はきっぱりとそう述べる。
それを聞いて健二は彼女をキッと睨んだ。
「な、何よ。」
「っ・・・俺、今日は帰るわ。」
「え?」
「・・・。」
遥と海に帰ることを告げぬまま、エレベーターへと向かった。
冬樹は はぁ とため息をつく。
「俺も帰ろうかな。
意識を取り戻してる二人を見れただけて良いし。」
「っ!」
理子は双子で想いあっていると知り、
てっきり二人が幻滅するかと思っていた。
しかし、予想通りに事は進まない。
「っ、・・・。」
病室に顔をのぞかせ、帰ることを告げている冬樹を見て
苛立つ。
彼女は携帯を取り出し、同じ学校の友達全員のアドレスに
まとめてメールを送る。
ぱたん、
携帯をとじると、小さく笑みを浮かべた。