昔からカッコイイカッコイイと言われ続ければ、
誰だって 自分ってカッコイイ と思うに決まってる。
ナルシストというのは否定しない。
「っぷ、ふふ・・・。」
「笑うなよ」
「だって、遥君、ナルシスト・・・。」
「はぁー・・・。」
遥は海の頭をぐしゃぐしゃとなでると、いくぞ。と言った。
「え?」
「体育、俺、途中で抜けてきたから。戻る」
「で、でも、私・・・こんな髪形だし、それに・・・。」
それに、と言いかけた海。
遥はその続きを待つが、廊下に誰かの足音が聞こえて焦る。
更衣室には内側から鍵がかかっているが、
こんな時間に廊下を歩いているのは教師くらいしかいない。
つまり、更衣室の鍵を持っている。
がちゃがちゃ、
「あれ?可笑しいわね、誰かいるのー?」
二人の心臓が跳ね上がる。
「や、やべっ・・・。」
「ど、どうしよう遥くんっ」
がちゃり、
教師が更衣室の鍵を開けた。
遥は咄嗟に海の腕をつかみ、ロッカーの中に押し込めると自分も中へと入った。
ぎゅうぎゅうになったそこは息苦しいが、仕方ない。
「は、遥くっ・・・。」
「馬鹿、しゃべるな。」
海の体と密着している。
見た目ではあまりわからないやわらかい胸が遥にあたり、
双子といえど顔を真っ赤に染めた。
「あれ?誰もいないわね。イタズラで鍵をかけたのかしら」


