なんだろう。
海の心にモヤモヤしたものがあふれる。
ただ、教室が別々になるだけなのに
これから、だんだん距離が大きくなっていくような気がして
怖くなった。
それに、理子が何を考えているのかわからない。
「・・・っ、」
「!?」
ぅ、と小さいうめき声が聞こえ、海はばっと振り返る。
「・・・あ、れ、ここ・・。」
「遥っ、」
「・・・」
遥は意識を取り戻した。
ぼんやりとした瞳で海を視界にうつす。
「うみ、」
はっきりとした声にはならなかったが確実に自分の名前を呼んだ。
元気はないが、遥は小さく笑って よかった と呟く。
「っ、」
がば、と彼女は抱きつく。
「うっ、うぅ、」
そのまま泣き出してしまった海に困ったような表情を浮かべながら
彼女の背中に手をまわしポンポンとあやすように叩いた。
「ほんと、お前は泣き虫だな。」
「ごめ、なさい、私っ」
「もっと違う言葉ないのかよ。」
謝ってばっかだな、とため息交じりに言う。
海は遥から離れ、涙をふいて彼の顔をまっすぐみた。
「ありがとう、はるか。」


