自分はずっと護られていたのだ。
遥という存在に。
いまだに眠る彼に目を向けて、
再び泣きそうになる。
「こんなときに言うのもなんだが、
家族が同じクラスにいるのは学校の決まりで駄目なんだよ。」
「・・・はい。」
「クラス移動となるが、いいか?」
「わかりました。」
こうなることはしょうがない。
遥と自分は家族で、本来なら別々のクラスにいるのが普通なのだ。
「ごめんな、筧。」
八木は何も悪くはない。
謝る彼に申し訳ない気持ちがこみ上げてくる。
「あ、崖から落ちた事について教えてほしいんだが、」
「?」
「足を滑らせて落ちたんだよな?」
「っ、」
たしか、理子に突き飛ばされて足を滑らせたのだ。
「・・・誰から聞いたんですか?」
「佐々木が全部説明してくれたんだ。
筧が足を滑らせて落ちたところを助けようとして遥も落ちたってな。」
なんだ?違うのか?と言葉をつなげる八木。
「・・・いえ、そうです。」
海は理子の事を一言も話さず、それであっていると言った。
今回の事は理子がすべて悪いんじゃない。
自分にも非はある。
「そうか、分かった。
じゃあ先生はもう行くから、今日は安静にして元気な姿を
学校で見せてくれよ。」
「・・・はい、ありがとうございます。」
八木は立ち上がると、そのまま病室を出て行った。


