ガラ、
再び扉が開く音で目を覚ました。
入り口の方に目を向ければ、母親と顧問の八木がいる。
八木の登場に驚き、顔を真っ赤にして慌ててベッドから降りようとした。
「あら?いいのよ海ちゃん。
昔は風邪をひいたら遥と一緒に寝ていたものね。」
懐かしいわ、と笑顔を見せる母親に言葉を詰まらせる。
八木は海を見て困ったように口を開いた。
「目が覚めてよかったな!」
「は、ハイ・・・あの、マネージャーの仕事、ちゃんとできなくて
すいませんでした。」
「気にしなくていいぞ。
お前達が病院に運ばれた次の日、校長の配慮で急遽合宿は中止になったからな。」
「そ、だったんですか・・・。」
ごめんなさい、ともう一度謝るとお前のせいじゃないさと愛想よく笑った。
「先生と積もる話もあるだろうから、お母さんちょっと出ているわね。」
気を利かせた母親が再び病室からでていく。
「・・・筧。」
「はい。」
「すべて校長から聞いたよ。」
「え?」
なんの事?海は首をかしげる。
「お前達、双子だったんだな。」
ドクン、
心臓が大きく鳴った。
「高校に入ってすぐ、遥が校長に頼みにいったらしいな。
自分のせいで海が苛められて傷つかないように双子だということは
隠しておいてくれ。ってな。」
「え?」
聞いてる話と少し違うと思い、海は聞き返す。
「中学の時にイジメにあっていたんだろう?」
「・・・はい。」
友達の彼氏に告白されたから、イジメにあった。
しかし実際はそれだけじゃなかった。
遥と仲良くしているだけで、調子に乗ってると言われイジメを受けた。
それを遥はわかっていて、高校ではそんなことがないように、
他人のように振る舞う為に校長に
双子だということは秘密にしてくれと頼みにいったのだ。


