「海っ!目を覚ましたのね!!」

「おかあさ、」

駆け寄り、海を強く抱きしめる母親に彼女はさらに涙を流す。

「おかあさん、ごめんなさいっ私が悪いの。」

「何言ってんの!二人とも無事だったんだから良かったわよ。」

母親の声が震えていることに気づき、

心配かけたことを実感した。

申し訳ない気持ちと、安心感がこみ上げてくる。

「二日間も目を覚まさなかったんだもの。

凄く心配したわよ。」

「え、二日も?」

「そうよ。海は高熱でずっと苦しそうだったし。

遥も熱を出して、今は落ち着いたんだけど・・・。」

そんなに眠っていたなんて知らなかった。

驚いた表情を見せると、母親は苦笑して彼女の額に手を当てる。

「まだ熱があるみたいね。

もうしばらく寝てなさい。お母さんは看護婦さんに連絡してくるから。」

「・・・うん。」

言われるままベッドへと戻り、布団の中にもぐりこんだ。

「じゃあ、また後でね。」

母親はそれだけ言い残すと病室を出て行った。

静かになった病室。

再び寂しさがこみ上げてきた。


そういえば、二日間眠っていたということは合宿は終わっているだろう。

停学中に無理を言って臨時マネージャーとして合宿に参加したのに

結局何も役に立たなかった。

自分自身が嫌でたまらなくなる。


「っ・・・。」

ぎゅ、と目を綴じもう一度寝ようとするが落ち着かない。

体を起こし遥を見た。

「・・・。」

悪いとわかっていたが、彼女は再び彼のベッドの元に行くと

そっと布団をまくり上げ入り込んだ。

懐かしい感覚に落ち着きを取り戻す。

目を覚まさない彼の手をぎゅ、と握り

海は再び眠りについた。