「あの・・・学校では話かけんなとかいうやつ、撤回な」
「っ、え?」
「・・・俺を頼っていいから。」
単なる憐みだったのかもしれない。
一度は尊敬してしまった冬樹に影響されたのかもしれない。
偽善者だと思われるかもしれない。
けど、同じクラスになって
やっと海が置かれていた状況が分かった気がした。
「ごめん、海。」
「わ、私こそっ・・・こんな、ウジウジしてて・・・ご、ごめん、なさっ、」
「・・・。」
遥はポケットに入っていたピンを取り出すと、
海の前髪をななめに止めた。
長い前髪でわからなかった彼女の顔が現れる。
目は真っ赤に充血していて、
潤んでいた。
「俺も、変わるから。海も、変わろう。」
「っ、う、うん。」
「俺の姉だろ、絶対可愛くなれる。」
馬鹿にしてきた奴らを、見返そう。
遥は笑った。
「・・・ねえ遥君。」
「ん?」
「前から思ってたんだけど、」
「うん。」
「ナルシスト?」
「・・・・・・・、だったら何。」


