ザアアア、
雨はだんだんとひどくなる。
「ハァ、ハァ、」
結構な距離を歩いたが、ここが何処かわからない。
このまままっすぐ歩けばバスで合宿所に向かう時に
通った道にでると予測していた遥は不安になる。
できるだけ海を濡らさないように気を付けていたが土砂降りの為に
難しい。
「っ!」
ばしゃん、
雨で足を滑らせ、体制を崩した遥は膝をついた。
「ク、ソ、」
自由に足が動かないのがもどかしい。
力を振り絞って再び立ち上がると、泥だらけになりながら歩き出した。
*
「せ、先生っ!!」
その頃理子は、焦ったように剣道場へと向かい顧問の八木に叫んだ。
「お、どうした佐々木。」
「遥君と、海がっ・・・。」
「ん?二人がどうした?」
「崖から、落ちたんですっ!!」
そう言った瞬間、シンと静まりかえった。
練習試合をしていた部員の動きも停止し、理子を見ている。
「そ、それは本当か?」
「はいっ!早く!見つけなきゃっ・・・」
慌て始める理子を見て、八木は息を飲む。
「っ、誰か救急車に連絡を入れてくれ。あと、警察にもだ!
捜索してもらおう!練習は中止だ!全員、二人を探しに行くぞ!!」
≪はい!≫
部員全員の声が重なった。
「佐々木はここで警察と救急車を待っていてくれ。
事情を説明しておいてくれないか。先生は探しにいく。」
「は、はい!」


