モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「ぅわ!!」

ガサガサガサ、

崖の下にある高い木に何度もぶつかり、落ちていく。

すでに海の姿は見えない。

遥は焦った。

このまま落ちて地面に強打すれば骨折どころではすまないだろう。

「っ!」



ドンッ、

しかし、考える暇もなく遥は地面に体を打ち付けた。

「くっ、」

痛みが全身を襲うが、気を失うほどではなかった。

木にぶつかって落ちたために落下スピードが緩んだために助かったのだろう。

擦り傷だらけになった体をなんとか起こすと、あたりを見回した。



「海っ!」

数メートル先でぐったりとしている彼女を見つけ、遥は慌てて駆け寄ろうとするが

足が動かない。

「っクソ、」

理子に突き飛ばされ怪我が悪化したらしい。

なんとか足を引きずりながら近寄り、気絶している海を揺する。

「海!海!」

「・・・ん、」

彼女が反応してくれたことに少しほっとした。

「・・・は、るか。」

「よかった、大丈夫か?」

「・・・う、ん。」

まだぼうっとするのか、海は体を起こしてから頭を押さえる。



その時だった。

ぽたり、

空から滴が落ちてきた。

二人は空を見上げる。

さっきまで晴れていた空はあっというまに真っ暗になる。

ザアアアア、

本格的に雨が降り出した。

「遥、とりあえず、どこか雨宿りできるところに・・・。」

海は立ち上がり、遥にそう声をかけたが彼は動かない。

「遥?」

「・・・俺、歩けない。」

「え?」