モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「理子!やめろよ!」

「最低!何よ!あたしを裏切るの!?」

遥は止めるが理子は聞かない。

ぎゅう、

「ぅあ!」

腫れ上がっている腕を力強く掴まれ、思わず悲鳴をあげた。

「海!」

遥は慌てて駆け寄り、理子の肩を掴み海から引き離そうとする。

「やめろって!」

「うるさい!」

どんっ!

パニックに陥っている理子はあろうことか遥を突き飛ばした。

グキ、

「ってぇ・・・。」

怪我をしている方の足を捻り、そのまま尻餅をつく。

「あんたなんて、死ねばいいのよ!」

泣き叫ぶ理子はドンッと海を強く押した。

「っ!」

衝撃に耐え切れず、海の体は体制を崩す。

ぐらりと揺れる視界。


「あっ、」

理子がはっとなったときは、すでに遅かった。


落ちる!

「海!!!!」

遥は痛む足を忘れて、崖に放り出された海に向かって手を伸ばした。

しかし、海はこちらに手を伸ばそうとしない。

大きく目を見開き、理子と遥を見ていただけだった。



(届かない!)



あと一歩というところで手が届かなかった。

まっさかさまに落ちていく海を見て、遥は血の気が引いた。

「っ!」

「ごめんなさっ、あたしっ!」

今更後悔している理子を無視し、遥はぎゅ、と拳をつくり

覚悟を決めるとそのまま自分も飛び降りた。


「遥くん!?!?」