モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



「っ・・・ねえ、遥、」

「なんだよ。」

「たとえばっ・・・」

海は俯きながら、言葉をつづける。

「たとえば、私も遥の事が好きだったらどうする?」

「え、」

ドクン、ドクン、

頬を赤くさせ、海は瞳を潤ませて遥を見た。

「う、海?」

「たとえばだから、気にしないでね。」

先ほどの遥の言葉を真似たが、遥の頬もつられて赤くなっていた。


(何よ、何よそれ。)

理子のイライラが爆発しそうだった。

結局は二人は想いあっているのだ。

(許せない。)


「海、可愛い。」

「っ///」

遥が海を抱きしめようと手を伸ばした時だった。

我慢できなくなった理子が木の陰から姿を現す。

「っ理子!?」

それに驚き、遥は声をあげた。



「聞いたわよ。双子だったんだね。」


「・・・だとしたらなんだよ。」

「遥!?」

否定しなかった遥に驚き、海は声をあげた。

「可笑しいわよ、双子なのに恋愛感情持ってるなんて!!」

これには反論できなかった。

二人は何も言わずに理子を見る。

彼女はキッ、と海を睨みだんだんと距離を縮めていく。

「海、あんた、協力してくれるんじゃなかったの?」

だんだんと迫ってくる理子に、海も反射的に一歩ずつ後ろへと下がっていく。

「ご、ごめんなさっ、でも、私っ・・・。」

「友達だと思ってたのに!好きな人とるなんて、最低ね。」

「おい、理子!」

ズキン、

海の脳内に、中学の時の記憶が過った。

親友だと思っていた人物の彼氏が、私に告白してきたこと。

そして、最低と言われ、突き放されたこと。

それから、イジメが始まったこと。

「っっ!!」

こらえきれなくなった涙が海の頬を伝い落ちる。

「泣けばいいと思ってるわけ!?」

海に後がなかった。

理子に追い詰められてすぐ後ろは崖だ。

高台にある宿所の中庭から少し逸れると崖になっている。

景色は凄くいいのだが、今はそれどころではない。