理子は物陰に隠れ、聞き耳を立てる。
(なんで洗濯を遥君が手伝ってんのよ!あのブス一人でさせようと思ってたのに。)
イライラを必死で抑え、二人の様子をじっと見る。
(ってか、双子?家族?)
よく聞こえない、と思い悪いと思いながらも理子は
近づく。
木の陰に隠れ、じっと会話を聞いていた。
「・・・なあ、」
「え?」
「もし、俺が海に恋愛感情持ってたらどうする?」
「っ!」
冗談なのか本気なのかわからない。
海は大きく目を見開いた。
それに衝撃を受けたのは理子もだった。
きづいてはいたが、遥の気持ちを改めて痛感し泣きそうになる。
「も、もしって・・・そんなの、
私たち、双子だよっ?・・・。」
(え?)
「っ、駄目だよ、許されないよ・・・。」
だんだんと海の声が沈んでいく。
(は!?双子!?海と遥君が!?)
驚きで声をあげそうになったが、なんとか押さえる。
「んなの、分かってるよ。」
遥の手が止まった。
そして、まっすぐと海を見る。
「たとえばの話だから、気にすんな。」
理子は木の陰から顔をのぞかせる。
二人を見比べ、はっとした。
たしかに似ている。
でも、クラスの誰ひとりとして二人が双子だったことなんて知らない。
中学が同じだった自分も知らなかったのだ。
強い衝撃を受けると同時に、嬉しさがこみ上げてきた。
(双子だってこと、どうやら隠してるみたいね・・・
しかも、双子なら、付き合えるわけないじゃない。)
まだチャンスはある。
理子は笑顔を浮かべた。


