ぐい、
「痛っ!」
「怪我してる。」
有無言わさず、海の服の袖をまくった。
腫れ上がっている腕はもしかしたら骨にヒビが入っているかもしれない。
「今すぐ病院に、「いいの!」
「・・・は?」
「私のせいで、昨日遥も怪我したしみんなに迷惑かけたんだから
このくらいの怪我で病院行ってマネージャーの仕事しなかったら
皆に悪いし・・・あ!わ、わたし、洗濯頼まれてたんだった!」
はっと思い出したように言葉を並べて、遥の腕を振り払う。
「ちょ、おい!」
「じゃ、じゃあね!まっま、またあとで!」
動揺しすぎだろ、と遥は内心思ったが
どうして彼女がそこまで焦っているのかわからなかった。
遥の部屋を出た海は、小走りで洗濯室へと向かう。
真っ赤になっている頬に触れ、
遥を思い出すと胸が苦しくなった。
*
「海、洗濯頼んであったのに全然してないじゃん!」
「あ、ご、ごめんなさい。」
「健二と遥君の部屋来るし、いい雰囲気だったのに。」
理子は海の姿を見た瞬間毒づいた。
「・・・。」
「冬樹君には記録つけるの頼んであるから、
あんたはこの洗濯物全部洗って干しといてくれる?」
「う、うん!」
「あたしはほかにやることあるから。」
じゃ、よろしく。と言い残して理子は出て行ってしまった。
一人残された海は洗濯物の量に目を見開いた。
山のようにつまれたそれは一人で洗濯するには多すぎる。
ただでさえ片手があまり使えないのに、と思ったが
口には出さなかった。
「、がんばろ。」


