さっきまで、遥とは気まずくて、会いたくなかった。
なのに、理子との現場を見て嫉妬して
遥が自分を見てくれているのが嬉しくて、
気持ちが、今までにないくらいに大きく膨らんでいく。
勝手に赤くなる頬も
ドキドキする心臓も、
(・・・私、遥のこと好きなのかな。)
彼に言われて妙に納得してしまった自分がいた。
こんなこと、あってはならないのに。
「そ、そんなことっ、ない///」
遥にこんな気持ちを知られたくなかった。
軽蔑されてしまうような気がして怖い。
彼は、このあいだ好きだと言ってくれた。
けれどそれは、家族としてであって恋愛感情なんかあるわけない。
ありえない。
冬樹の事は異性の友達として見ていたんだ。
自分にはないものを持っていて、強い憧れを抱いていた。
(・・・そうだったんだ。)
遥の事が好き。
そう気づけば、色々なことがやっとわかったような気がした。
「そーかよ。」
(俺の勘違いかぁ。)
ま、両想いなんてあるわけないけど。
そう思うとズキ、と心臓が痛んだ。
遥はふと彼女の腕に視線をむける。
ビク、
「な、何?」
「海は怪我しなかった?」
「だ、大丈夫だよ!」
不自然にも戸惑ってしまう。
彼女は無意識に左手を庇っている。
それを見て遥は手を伸ばした。


