「自分勝手かもしれないけど、俺は、筧さんには遥と付き合ってほしいんだ。」

「え、え!?無理だよ!」

「どうして?」

海は驚いて声を張り上げる。

遥と自分は双子で、家族。

付き合えるわけがない。近親相姦になってしまう。

しかし、健二は自分と遥は親戚だと思っている。

冬樹、健二、理子以外の人間は、

自分が遥と同じクラスの 筧海 だという事は知らない。


そんな状況で自分が遥と付き合ったら、それこそ周りの反感を買うだろう。


「どうしてって、親戚だし・・・それに、遥は理子ちゃんに、告白したって・・・。」

「告白?」

初耳だと健二は言った。

「それ、誰から聞いたんだ?」

「理子ちゃんが、昨日言ってたの。」

健二の心に怒りが込み上げてきた。

「本当かよ。」

「わ、わからないけど・・・理子ちゃんが言ってたから、

本当だと思う。」

自分でも、声が沈んでいくのが分かった。

海は俯く。


「あいつ、何考えてんだよ!」

「っ!」

健二の声に海は驚く。

彼はおもむろに海の両腕を掴んだ。

「今から遥に聞きにいくぞ!!!」

「ええっ!?」

思い立ったら即行動の健二についていけず、海はたじたじになる。

「で、でも私、マネージャーの仕事あるしっ・・・。」

「あとでもできるだろ!」

「っぅわあ!」

怒りで我を忘れかけている彼は海の腕を掴むと走り出した。

どうしてこうなってしまったのかわからない。

部活開始まであと30分。