それから二人は他愛ない会話をしながら体を洗う。
少しだけ空気がピリピリしているのは気のせいではないだろう。
「海、背中洗ってあげる。」
「え、あ、」
「かして!」
体を洗うスポンジを無理やりとり、理子は海を椅子に座らせて洗う。
海と友好を深めて、今後彼女を利用しようという思いからの行動だった。
「あ、ありがとう。」
それに気づかず、照れながら礼を言い背中を任せる。
「海って肌白いねー。」
「そうかな?」
「うん、羨ましい。」
あたしも白くなりたい、という理子に 十分白いよ! と声をかける。
ほのぼのとした雰囲気に変わったときだった。
ズキン、
「っ!」
左手を桶に手を伸ばした時だった。
激しい痛みが海を襲う。
「あ、」
理子との会話ですっかり忘れていたが、自分は腕を怪我していたのだ。
脱衣するときにはなるべく使わないようにし、入浴中も気を付けようと
思っていたのに。
腕を見るとさっきより酷くなっており、腫れあがっている。
「・・・。」
折れているのかもしれない、という不安が彼女を襲う。
「海の背中にアザがある・・・自転車から落ちた時の?」
「あ、それは生まれつきのアザなの。」
「へえー。」
なんか、星みたいな形してるね。と理子は笑った。
たしか、遥にもあったような気がする・・・と海は考えた。
小学校まで一緒に風呂に入っていたために知っているのだ。
はい終わり、と背中にお湯をかけてもらう。
ありがとうと礼を言うと理子はどういたしましてと言った。
髪もなんとか洗い、痛みに耐えながら海はあがることにした。
「あたしはもう少し入ってるわ。」
「うん、じゃあ、また・・・。」
「あとでね!」


