「聞いてんのかよ!!」
女子更衣室で、海は修羅場に陥っていた。
「なんでアンタが冬樹君にあいさつされてんの!?」
「・・・昨日、図書室で偶然あったから・・・だと思います」
「はあ?」
「三守くん、図書委員だから・・・」
「うっぜ、だから何?お前、最近調子に乗りすぎじゃね?遥君と席近いし、
冬樹君にあいさつされたからって・・・」
「遥君とは、仕方なっ「遥君!?お前何名前で呼んじゃってんの!?」
しまった、と海は目を見開いた。
無意識に名前で言ってしまった。
目の前の女子と、その他二人の女子は海の髪をつかんだ。
「切っちゃおーよ!」
「え、やっ、やめて!」
背中の真ん中近くまであった髪が、目の前の女子によって切られていく。
「あははは!」
「うっわー、何この天パ。」
「きっもー。でもお前にはそっちのほうがお似合いだっつーの!」
目の前の3人以外の生徒は見て見ぬふりをして体育に行ってしまっていた。
海は泣きそうになる。
(怖い、怖い、たすけて、)
無視されたり、暴言を吐かれるだけなら我慢できた。
けれど、今回ばかりは耐えられない。
我慢できない涙がぽろぽろとこぼれてくる。