モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



女子マネージャー二人は、同じ部屋だった。

着替えを用意し、露天風呂に向かう。

「楽しみだね!」

「うん。」

理子の明るさが正直羨ましいと感じた。

「?」

海は彼女の頬に涙のあとがあるのに気付いた。

無意識に手を伸ばし、頬に触れる。

びく、

理子は体を震わせて、驚いたように海を見た。

「な、何!?」


「大丈夫?」

心から理子を心配しているようだった。

不安そうに瞳が揺れている海を見て、罪悪感がこみ上げてくる。

痛いほど、彼女が優しい子だと実感した。


「だ、大丈夫よ。いきなり何?」

「涙のあとがあったから・・・ごめんね。」

「あ、謝らないでよ。」

「う、うん。」


変な空気が二人の間を流れる。

露天風呂につき、脱衣所に入ると服を脱ぎ始めた。

二人以外、人はいなかった。

タオルを巻き風呂へと向かう。


外へ出ると空はすでに暗く、星が輝いていた。

ちゃぷん、


湯に浸かり、しばらくしてから海が一番気になっていたことを聞いた。


「遥君、大丈夫だった?」

「うん、もう目を覚ましたし。今日は大事をとって一日だけ入院するんだって。」

「そ、か。」

「明日には退院して合宿に復帰できると思う。」


それを聞くと、安心したように海は息を吐いた。


「あ、それとさー」

「え?」

「筧さんて好きな人いるの?」

視線を空へ向け、理子は問いかけた。