「私、真琴の事が――…」
好きです。ただそれを言うだけだったのに…
「駄目。今、言わないで。」
"好きです。"さえも言わせてもらえなかった。
それとも、いっちゃいけなかった?
「そっか。ごめんね!!」
そう言って、私は走りだす。
「あ、ちょっと待って!!冬実!」
今はもう、真琴の声さえ耳に届かない。
階段を一気に駆け下りる。
涙が止まらない。
告白される前に、断られた。
…馬鹿みたい。
「…かっこ悪。」
かっこ悪いよ。
かっこ悪すぎる。

涙が止まらないよ…。
「ぅー。ぅー。ヒック、ヒック。ズッ。」
何これ、涙が止まらないよ?
息ができない。
私の初恋は、最後まで言わせてさえもらえずに、終わってしまった。
こんな事って…こんな事ってあんまりだよ。