教室へ行くと、皆が一斉に私の方を向いた。
さっきあんな事があったから、冗談抜きで気まずい。
「ほら、行くぞ。」
紀龍は私の背中を押す。
「…ん。」
「ほーら!」
燐が私の手をつなぐ。
前へ、一歩、進み出る。
私の視線は、真琴へいく。
真琴は、こっちを見ようとしない。
まるで、私なんか見たくないように。
溢れそうになる涙は、堪える。
一歩、一歩、また一歩。
燐と紀龍、私はそれぞれの席に座った。
「………」
2人の間には、沈黙が続く。
…謝らなきゃ、謝らなきゃいけない。
「あの、さ――…」
私が喋った瞬間、それを遮るかのように、真琴は話す。

「なぁ、冬実。俺…何か悪い事したかな。嫌われる様な事したかな。俺…何した?教えてくれたら…嬉しいんだけど…。」
真琴の声は、次第に掠れていく。…泣いてるの?
…そんな訳、
「なぁ。」
ない…
「教えてよ。」
のに…。
真琴は、悲しそうな、揺れる瞳を、隠すんだ。