「ムヒデリについては
その後、死亡説や様々な説が飛び交いましたが

まさか…こんな近くに潜んでいたなんて。」


ジャンはまるで
汚物でも見るようにムヒデリを見下ろした


「以前、ユキノ様に賊を差し向けたのも
お前の仕業なんでしょうね。
そうすれば、私の考えもすっかりまとまる。」


「…。」


ムヒデリはジャンの問いに答えようとはしない


「黙秘ですか…。
ユキノ様を攫う目的は儀式の為か?

それとも…

他の物に依頼でもされたか…?」


含みを持たせるような
ジャンの追及にも
ムヒデリは依然として
口を割ろうとはしなかった

「…ムヒデリ神官…
あなたの気持ちと決意はわかりました。

ただ…私も何も聞かないままでは
引き下がれません。」

ジャンは
懐から小瓶を取り出すと

ポールとゴルチェに命じて
無理やりムヒデリに中身を飲ませる


呆然と見ていた雪乃は
いつの間にか隣に来ていた
クリスのマントに覆われて
視界がふさがれた